ドイツロマン派音楽に向けてのアプローチ

古典派音楽の時代からの形式を尊重しつつ、より人間の感情の起伏にあわせた音楽表現に向かったのがロマン派の時代です。ここでは、ドイツロマン派の様式を理解していきましょう。

【作曲された時代について】1789年に勃発したフランス革命は、ヨーロッパの精神文化に多大な影響を与えたといわれています。同じ頃、ドイツでは「疾風怒溝(シュトルム・ウント・ドランク)」の機運が芽生えていました。理性よりも感情に重きを置く動きが高まりながら、端正さを求める古典主義に異議が唱えられていました。このような時代の流れが「ロマン主義」と呼ばれる音楽を生み出したと言えるでしょう。「ロマン主義」の典型は、シュマンの音楽で見ることができるのですが、古典派の代表的な作曲家であるべートーヴェンの音楽でも、少しだけ確認することができています。自由思想に心酔したベートーヴェンは、作曲家の精神性を古典的な形式の交響曲(シンフォ二一)の中に盛り込みながら作品を作っていたといわれています。この革新的な音楽は、ピアノ音楽の器楽曲としての可能性を追求し続け、19世紀のヨ一口ッパ音楽を切り開く大きな原動力となっていったのです。

【様式について】古典的な形式にとらわれずに感情の動きをより大切にした自由と情熱が、ロマン派音楽の大きな特徴のひとつとして挙げられます。そして、文学や思想と音楽の関係が深まっていくことでさらにインスピレーションを育てることにつながっていったのです。「標題音楽」といわれる、題材となる物語の内容と音楽が緊密に結びつく音楽も生まれ、オペラの分野では音楽性と文学性の統合を目指す作品も登場してきます。

【ロマン派音楽を歌う上で大切なこと】古典派音楽からロマン派音楽への架け橋になった存在にベートーヴェンがいます。この時代から、芸術が貴族から市民のものになっていくようになります。演奏に重要な部分が様式美だった時代から、音楽が人間の感情の起伏に応える表現へと変わっていく時代がこの時代といえるのです。